A:
クララ「クリスの言葉が本当なら、その言葉からはアガサが飲んだことになり、
アガサの言葉はウソなので、自分が飲んだと言っていることになるわ」
「反対にアガサの言葉が本当だとすると、その言葉からウソをついている
はずのクリスは飲んでいないことになり、クリスの言葉はウソだから
飲んだのは自分じゃないと言っていることになるわね。いずれにしても・・・」
「第一、なぜ紅茶にクリームを浮かべたことを知っているというの?
あなた達のうちアガサ、クリス、ティーを、残り少ない大事なティーを
飲んでしまった犯人は・・・ あゝアガサ、あなただったのね!」
*
クリス「ふふっ、叱られずに済んでよかった。それにしてもお姉さまもばかね、
あんな変なウソのつき方するなんて。あれじゃ、学校に行かなかった私たちに
立派な教育を授けてくれたお母様の灰色の脳細胞はごまかせっこないわよ」
アガサ「ふっ、あなたこそ何にも分かってないのね。庇ってあげたんじゃないの。
お母様ならきっとああやって推理を働かせるはずだと思ったのよ。
あたし、あなたがこっそり盗み飲みするところをちゃんと見てたんですからね。
でも、いつもBFのマックスに送る手紙、字の綺麗なあなたに代筆してもらって
るから、まあ、たまにはお礼の意味を込めて、というわけよ」
クリス「あら、それじゃありがとうと言うべきかしらね。もっともマックスとは
たった今電話で話したところよ、ついさっきのやり取りをそのまんまね。彼、
『僕は嘘つきはやだな、君のような正直で字が綺麗な子が好きだよ』ですって。
お姉さま、フラれちゃったわね。あら、彼に話さない方がよかったかしら?
ごめんなさいね~、あははは えっ、お姉さま・・・ま、まさか、、、
う、嘘でしょ? ご、ごめんなさい、許し・・・うっ!」
アガサ「ああ、わ、わたし、何てことを・・・ はっ! お、お母様」
クララ「・・・すべて聞いていたわ。 大丈夫よアガサ、大丈夫。心配しないで。
お母様がきっと護ってあげるから。 しっかりして、それより早く片付けを。
そしてすぐ支度をなさい。引っ越すのよ、誰も私たちを知らないところ・・・
そう、エジプトへ行きましょう。ナイルの畔・・・そこでお母様は、あなたを
ご近所にこう紹介してまわるの――『これが”一人娘の”アガサです』って」
数々のベストセラーを世に送り、後に”女王”とまで呼ばれ莫大な印税(royalty)
を手にするようになったアガサだが、本格ミステリーを怒涛の勢いで発表し始めた
のはこの引越しから僅か数ヵ月後のことである。それまでちょっとした手紙でさえ
殆んど自分で書くことがなかったと伝えられている彼女であるのだが・・・。
ある調査によると、このアガサたち母娘の突然の転居と時を同じくし、妹の部屋
にあったといわれる膨大な量のノートやメモ類、新聞の切抜き、各種専門書籍や
雑誌等の大部分が紛失したと伝えられている。それらの中には、薬学の専門書、
多数の詳細な列車の見取り図、過去の重大な刑事事件の裁判記録等々、凡そ
その年代の令嬢に似つかわしいとは到底思えない内容の物が多数含まれていた
という。
ある時期を境に眠っていた才能が突如覚醒し、それ迄とはまるで別人のような
耀きを放ち始めるという例は何も彼女に限ったことではないが、この妹の謎の失踪
と、姉の突然の創作能力の開眼の奇妙な符合は、むしろ我々に”騙される愉悦”と
でも呼ぶのが相応しい感覚を生じさせはしないだろうか?あたかも彼女の人生そ
のものがこの不世出のミステリー作家の創作なのだとでもいうかのように――
(ウソよウソウソ、真っ黒なウソよ ヾ^-^;)
どちらが嘘つきでも飲んだのはアガサ・・かな?
テストが配られたのは気づいてましたが、答えに自信がもてないと、投稿するのに勇気がいりますね。
すみません。過去にメルマガでいただいていた「読者投稿問題」でブログ未登録だったものの登録作業をしていて、それについてはメール配信は行わないつもりだったのですが、手違いで配信してしまったようです。
律儀にお付き合いいただき、ありがとうございました。
飲んだのはアガサ。
クリスが正しくて、アガサが嘘でも、その逆でもすべてが、アガサが飲んだとなる。
飲んだのはアガサ、かな。
アガサ